2008年03月31日

預金保険の料率改定−ゆうちょ銀行の参加などで

預金保険の料率改定・一般預金上げ、決済用下げ:2008.3.31 nikkei net

 預金保険機構は金融機関から徴収する2008年度の預金保険料の料率を2年ぶりに改定する方針を固めた。金融庁などの認可を得て、31日にも発表する。 07年10月にゆうちょ銀行が預金保険制度に参加したことなどに伴い、預金の構成比率が変わったことに対応する。金融機関全体での実効負担率は 0.084%で据え置く[内訳が変わる:下記]。

 預金保険は金融機関が破綻したときの預金払い戻しに備える制度。前年度の営業日平均の預金残高に料率をかけた額を金融機関から集めている。

●2008.3.31 日経 より

・決済用預金の保険料率… 0.108%(0.002ポイントdoun↓)
 その他の一般預金  … 0.081%(0.001ポイントup↑)


・07年度末の預金保険機構の責任準備金欠損額…約1兆4千億円
 ←過去の破綻の後始末
  (数年後には債務超過を解消できる方向)


■預金保険制度の解説(預金保険機構) より:
 http://www.dic.go.jp/qa/qa2005.pdf

・民営化後に預けられた預金等(通常・定額とも)…預金保険制度の対象

・民営化前に預けられた預金等 …
  通常:預金保険制度の対象
  定額:政府保証


■cf.郵政収益 年々厳しく 民営化準備室が4事業会社試算:2004.11.18読売
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20041118mh05.htm
…郵貯会社では、法人税などを差し引いた税引き後利益が、2009年度に3056億円まで拡大する。 しかし、預金保険料の増大で、2016年度には1483億円まで減ってしまう。

↑理由:
佐々木憲昭 2005.2.28 第162回通常国会 財務金融委員会 質問
[預金保険料は]郵政民営化準備室自身が計算したものでは、民営化される2007年で618億円です。その後どんどん増えて2015年は1099億円、2016年度は1135億円の預金保険料を支払うとしています。
 この民営化準備室の試算は、民営化時点で既存の定額貯金が切り離されることを想定しています。そのため、当初の金額が低くなっているのですが…新たな定額貯金の預け入れが…回復して現在の残高になれば、計算上は2000億円程度の保険料を支払うことになります。


・運営負担が利用者に転嫁された例:印紙税が課される→[送金の]料金区分が変わり銀行の手数料並みに:2007.9.6 infoseek financial tips


■預金保険以外の点でも、徐々に、通常の銀行と同じ制度になるのかな?
ex.限度1000万円撤廃要望 通常貯金 ゆうちょ銀が方針:東京新聞 2008.3.31

→cf.郵貯銀行のあり方:2006.12 大村達弥研究会
http://www.isfj.net/ronbun/report2006/zaisei/oomura.pdf


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短時間労働者対策基本方針

大臣告示「短時間労働者対策基本方針」が準備されているようです。:2008.3.26 厚生労働省
http://www-bm.mhlw.go.jp/houdou/2008/03/h0326-2.html


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2008年03月30日

パート正社員化の意味−論壇から

2008年2月−3月の新聞・雑誌の概観です。
労働契約法・パート労働法の「均衡待遇」には冒頭で触れただけなのがちょっと惜しいですが(「経済論壇」だから かな?)、これだけ網羅してくれたのはありがたいですね。

OECD調査への対応については、私は「非正規労働者の対偶を正規労働者に近づける」が望ましいと考えています。「格差解消は正社員の待遇向上につながる」と下記にもありますが、最終的には「働き方の見直し」なのではと思います。


経済論壇から−松井彰彦「『パート正社員化』の意味」:2008.3.30 日経

●動向… 今年の春闘では労働者全体の三分の一を占める非正社員の待遇改善問題が大きく取り上げられた。→「非正規の処遇改善のスタートラインになるのでは」(荻野登)

・正社員の賃金改善額が前年を下回る一方、パート社員の時給引き上げは前年を上回る
・パート→正社員 転換制度


●法制度・政策の問題

  cf.「格差問題の本質…昔からの「身分差」が長期経済停滞の下で顕在化」(八代尚宏)

日本の場合、法制度が格差を助長
→OECD調査:日本では正社員と非正社員の保護度合いの差が突出して大きい(→日本の正社員は過保護?・OECDが労働市場分析:2008.3.5 日経2008.3.8エントリ)

→Q:正社員の解雇要件を軽減すべきか(a)、非正社員の解雇要件を厳しくすべきか(b)?

・a…「使用者が雇用を忌避」(福井秀夫)
・b…「労働者と使用者の交渉力の差が大きい=完全競争市場ではない → 現在の職場で意見を発することが認められるべき」(濱口桂一郎)


●・企業にできること …人と人とのつながりを強める(丹羽宇一郎・加藤秀樹)

 ・正社員と非正社員の格差を放置 →正社員は転落を恐れ、働きづめ → 過労死につながる / 残業重視(宋文洲)
   …格差解消に向けての取り組みは正社員にもメリットが大きい


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2008年03月29日

石綿労災、新たに2167事業所−申請期限迫る

桁がひとつ変わりました。(415→2167:2年で6倍(2008.3.29毎日)

■経緯 →2007.12.4エントリ
石綿被害事業所名を公表へ 舛添厚労相:東京新聞 2007.12.4

■石綿健康被害救済制度の特別遺族弔慰金・特別葬祭料の請求期限が切れる(2009.3.27)まで1年(ex. 石綿健康被害救済制度について

→開示を迫る患者ら関係者に追いつめられた末の公表(2008.3.29 日経)

■今後へ(2008.3.29 日経 より)

・肺がんの場合、石綿が原因かどうかの認定基準は労災より厳しい。
・労災の認定対象となる石綿肺も事業所の周辺住民には認められない。
・医療費の自己負担分+月額10万の療養費 …「月額20万以上の療養費が一般的な労災に比べ低すぎる」の声も

・患者支援団体から:救済法の申請期限延長・労災時効の撤廃を求める声も


石綿労災認定、新たに2167事業所・厚労省公表:2008.3.28 nikkei net

 アスベスト(石綿)を吸い込むことで中皮腫や肺がんになり、労災認定を受けた従業員のいる事業所が、全国で新たに約2160カ所あったことが28日、厚生労働省のまとめで分かった。約2年半前に415の事業所を公表した後、新たな事業所名が次々と判明していたにもかかわらず、同省は「風評被害」を理由に開示してこなかった。

 厚労省は同日、2005―06年度の間に新たに分かった2167の事業所名を公表した。石綿救済法に基づく給付金の申請期限が約1年後の09年年3月26日に迫っており、事業所名を明らかにすることで、従業員や周辺住民に、改めて注意喚起する狙いがあるという。

 2167カ所のうち、最も多かったのは「建設業」で54.4%、次いで船舶製造・修理や窯業、土石製品製造などの「製造業」で、35.1%だった。このほか、金属や石炭などの「鉱業」、貨物などの「運輸業」、「電気・ガス・水道」も目立った。さらに、金融業や清掃業などでも労災が認められたケースがあり、石綿の被害が多くの業態に幅広く及んでいる実態が浮かんだ。



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posted by 若葉 at 10:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 安全衛生・労災 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

授業料を信託保全−破綻に備える

小技?でも、効果的に使えば大きなメリットがある、という例でしょう。
(コロンブスの卵というか…誰も思いつかなかったのが不思議)

紙面にはありましたが、語学学校以外にも適用可能ですね。

りそな銀、語学教室の授業料を保全:2008.3.28 nikkei net

 りそな銀行は4月から、語学学校などを展開するインターグループ(大阪市、小谷泰造社長)向けに、生徒から集めた授業料のうち受講していない分を、信託の仕組みを使って保全するサービスを始める。仮に会社が経営破綻しても生徒は授業料を取り戻せる。インターグループは旧NOVAの破綻で高まった消費者の不安を取り除く。

 学校が生徒から預かった授業料をりそな銀が分別管理し、生徒が実際に授業を受けた分だけインターに渡す仕組み。万が一、インター社が経営に行き詰まった場合も、未受講分の授業料をりそな銀が生徒に払い戻す。



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2008年03月28日

配転をめぐる裁判例−権利濫用で原告逆転勝訴:ノースウエスト航空

労働契約法は配置転換について規定していませんが、
判例では「権利濫用」と認定されれば無効とされています。

→配置転換、出向、転籍に関する判例・裁判例:厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0524-2b.html

一審と二審で判断が分かれたところは、どこかな?(事実認定?)

(新聞では、当用漢字表にないので「乱用」になるようです)
地上職への配転は権利の乱用 元FAが逆転勝訴 ノースウエスト航空:2008.3.27 産経
 ノースウエスト航空の客室乗務員だった男女5人が、同意なく地上職に配置転換されたのは不当だとして、会社に配置転換の無効と慰謝料計500万円を求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。西田美昭裁判長は「配置転換は会社の権利乱用」と認め、原告敗訴の1審千葉地裁判決を変更し、配置転換の無効と慰謝料計440万円の支払いを命じた。

 西田裁判長は「配置転換で人件費を削減しなければならないほど、経営は危機にひんしていなかった」と指摘。さらに「配置転換は、客室乗務員がその職種を維持できるように会社が努力するとした労使協定に違反する」などの理由から、「権利乱用に当たり無効」と結論づけた。

 1審判決は「会社の経営状況から人件費削減の必要があり、配置転換は合理性がある」として訴えを退けた。判決によると、原告らは平成9年から客室乗務員として勤務していたが、会社は15年、地上職への配置転換を命じた。…



■似た名前で有名な判例:

ノースウエスト航空事件 最2小判s62.7.17

 ストライキにより休業を命じられた労働者が休業中の賃金請求。
使用者の責めに帰すべき事由(労基法26条)の範囲 > 債権者の責めに帰すべき事由(民法562条2項)の範囲」という基準を示した。
(ストライキを「組合の主体的判断→会社側に起因といえない」と判断、賃金請求は認めず)


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2008年03月27日

薬事法で未承認でも混合診療の対象に−高度医療評価制度

混合診療の範囲を拡大、安全性高い先進医療追加・厚労省方針:2008.3.26 nikkei.net

 厚生労働省は26日、公的医療保険が適用される保険診療と保険外の診療を併用する混合診療の範囲に、薬事法で認められていない医薬品や医療機器を使った治療を追加する方針を決めた。「高度医療評価制度」と呼ぶ新たな仕組みを導入し、一定の条件を満たした先進医療を認めていく。混合診療の範囲を広げ、患者のニーズに応えるのが狙い。

 同日開いた中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に報告し、了承された。4月から実施する。混合診療を認める場合として、国内外の使用実績で安全性や有効性が期待できることや、臨床研究の倫理指針に適合するなどの条件をつけた。大学病院など高水準の医療技術をもつ医療機関が申請できる。

 今年3月末には混合診療の対象になっている先進医療の一部が期限切れとなり、医療費の全額が患者の自己負担になるはずだった。今回の制度導入で患者の自己負担は引き続き一部で済むようになる。



■「今年3月末には混合診療の対象になっている先進医療の一部が期限切れ」の意味がよくわからなかったのですが… たぶんこうかな?


1984年 特定療養費制度
 高度先進医療、差額ベッド、歯科の選択材料差額の3種類



2006.10 保険外併用療養 …2分野

 (1)評価療養…いずれ保険適用される可能性のあるもの
   うち、先進医療は、神経変性疾患のDNA診断や固形がんに対する重粒子線治療など、現在、123技術が指定され、基準を満たした約900施設で併用が認められている。国は専門家による会議を設置するなどして、保険適用の手続きを明確にした。

 (2)選定療養 …患者が希望して選択するもの。金属床の総入れ歯や、保険で制限された回数を超える検査など、10種類


(ここまで… 保険外併用療養…公認の混合診療 患者負担を軽減:2007.11.8 読売 より)

↓ところが

06年10月に高度先進医療が先進医療に統合された結果、それまで高度先進医療として薬事法未承認ながら混合診療が認められていた乳がんの転移検査や内視鏡を使った甲状腺がん手術法など18技術が対象外となった。…[08年3月末までの経過措置期間内に薬事法で]承認されなければ、08年4月以降は正式に対象外となり、規制改革の結果123まで増えた対象医療技術が減ることになる。
混合診療、厚労省が規制通達 政府の拡大方針に逆行:2007.11.5 asahi.com



これらが「高度医療評価制度」によって、混合診療に含まれることとなった!


■経緯

未承認薬などを使う医療技術のうち、高度医療評価会議が安全性などを認めたものは「高度医療」に指定し、混合診療を可能とする…こうした制度の創設は昨年末、舛添要一厚労相と岸田文雄規制改革担当相が合意していた。
中医協:「高度医療評価制度」導入を了承 4月スタート:2008.3.26 毎日

「昨年末、舛添厚労相と岸田規制改革担当相が合意」は初耳ですが… 範囲拡大へのシフト自体は、昨年末の時点で定まっていたといえるでしょう。 →2007.11.16エントリ:混合診療「違法」判決の求めたもの



未承認薬も混合診療の対象へ 4月に高度医療評価制度を新設:2008.2.3 産経

厚生労働省は2日、健康保険が適用となる保険診療と、保険がきかない自由診療を組み合わせた「混合診療」の拡充策として、4月に「高度医療評価制度」を創設し、薬事法で未承認となっている医薬品や医療機器を使った先進医療を混合診療の対象に加える方針を決めた。現行では、治療の一部に未承認の抗がん剤などを使うと、原則として本来保険適用となる診療も含めて患者の自己負担となるため、患者から見直しの声が高まっていた。

 未承認薬などを使った治療の混合診療適用は、政府の規制改革会議の昨年末の第2次答申を受けた措置。高度医療評価制度の対象は、国内での使用実績や有用性を示す文献があるなど、有効性や安全性を示す科学的根拠が証明されている先進医療技術に限る。がん治療に関する先進技術などが対象となる見込み。

 また、病院の倫理審査委員会の承認や、治療内容や合併症や副作用の可能性を患者に説明して同意を得ること、臨床データの信頼性が確保されていることなどを実施要件とする。さらに、実施状況の公表や厚労省への定期的な報告も求める。

 実施できる医療機関は緊急時の対応設備を持ち先端医療を行うことを認められた大学病院などの特定機能病院か、同程度の体制の病院とする。

 未承認の薬や機器の使用を希望する病院ごとに、厚労省に新たに設けられる「高度医療評価会議」が審査し、3カ月以内に判断を下す。認められると、混合診療を例外的に認める「保険外併用療養費制度」の適否を判断する同省の先進医療専門家会議に報告され混合診療の対象に加える。

 未承認薬などを使った治療は、治験で部分的に混合診療が認められてきた。ただ、厚労省が課長通達で先進医療は混合診療を認めないとしたため、保険外併用療養費制度を利用できないケースが相次いでいた。

 また、高度先進医療が先進医療に統合され、高度先進医療で未承認薬などを使う治療も今年度限りで混合診療の適用から外れ、患者の負担が増す。このため、厚労省は課長通達廃止と新たな枠組みを検討していた。




高度医療評価制度(案)を提示 先進医療専門家会議:WIC より
厚生労働省が3月12日に開催した先進医療専門家会議で配布された資料…高度医療評価制度(案)(P20〜P26参照)が提示され、高度医療に関する基本的な考え方や要件、申請等が示された。


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2008年03月26日

キャリア教育の課題と可能性−産業能率大学の調査

「不安」を感じること自体は、「意識の高まり」として、ポジティブにとらえたらよいと思います。
問題は、その不安を「漠然と」したままにしておかない(形を与える)こと。

「不安感が、インターンシップを経験することで低減する」という調査結果をみて、
玄田 有史『仕事のなかの曖昧な不安――揺れる若年の現在』を思い出しました。

この本では

仕事のなかの曖昧な「不安」を、個人が冷静にファイトできる「リスク」に変えていく。そのサポートをする。

と述べています。

正確に言えば、今回の調査での「不安感」は、この本で述べている「不安」とは異なるように思います。
(制度・社会情勢という客観的な「対象」に対する不安ではなく、「自己の能力・適性」への不安 という点で : 現れ方が間接的なだけ という可能性もありますが)

ただし、

「無限の(漠然とした)不安」から「有限の不安(存在はするが、形は見えるもの)」になることで、きちんとむきあうことができる。

という結果が、この本のメッセージと共通しているように感じました。


■産業能率大学 大学生のキャリア意識調査
http://www.sanno.ac.jp/research/career_edu.html
全国の大学生に対して「キャリア意識」を聞くインターネット調査(2月9日から10日までに、18歳から25歳の大学生1000人に対して実施)



○小学校でキャリア教育を受けると「やりたいこと」が明確に
…「やりたい仕事が明確にある」との回答が全体平均よりも約13ポイントも高くなっています。早い時期にキャリア教育を受けると、仕事への関心が中長期的なスパンで具体的になる様子がうかがえます。

○キャリア教育は不安感も高めてしまう?
 将来働くうえでの不安を聞いた質問では、「人間関係がうまくいくか」「うまく働くことができるか」が約6割…「希望の会社に就職できるか」といった“就職”に関する不安よりも、“職場への適応”に関連する事を強く不安に思っていることが分かりました。
 また、キャリア教育が自身の職業観に「影響を与えた」と答えた人は、「影響を与えていない」とする人よりも、働くうえでの不安感が高くなっています。…

○不安を低減させるには、インターンシップが効果あり
 インターンシップの経験は17.1%が「ある」…話題にはなっているものの、実際に行う人はあまり多くはないようです。
 インターンシップを経験した人は、経験していない人よりも、働くうえでの不安が低くなっています。企業・団体・行政等の場で本格的な職業体験を行うことは、不安感を低減させる効果があると考えられます。


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2008年03月25日

外国人研修生に労働関係法令の適用を−規制改革推進3カ年計画

規制改革推進3カ年計画を閣議決定・外国人研修制度など見直し:2008.3.25 nikkei net
 政府は25日の閣議で、2009年度までの3年間で取り組む「規制改革推進のための3カ年計画」を決定した。規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)が昨年末に取りまとめた第2次答申を踏まえ、改定したもので、外国人研修・技能実習制度の見直しや保育士資格の受験要件緩和などの規制改革を盛り込んだ。

 一方、焦点の一つだった保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」については、薬事法で未承認の一部の医薬品を使ったがん治療技術にも適用範囲を拡大する。全面解禁は見送った。

 現行の外国人研修・技能実習制度では、海外から受け入れた研修生は企業で1年間の実務研修、2年間の技能実習ができるが、実務研修では労働関係法令は適用されず、低賃金を強いられる例が多かった。3カ年計画では、実務研修中の研修生にも労働基準法などの適用を認めるよう法改正を求めている。


規制改革会議 HP →規制改革推進のための3か年計画(改定) 13. 海外人材 p4
 ↑ひらがならしい…googleに教えてもらいました

・こちらは厚生労働省ですが、問題の所在が図などでわかりやすくまとまっています。
「研修・技能実習制度研究会中間報告」のとりまとめについて h19.5.11


■経緯:hamachanの労働法政策研究室 より「外国人労働者の法政策」
http://homepage3.nifty.com/hamachan/gaikokujin.html

・技能移転を通じた国際協力を目的
・本制度が創設される頃から「研修といっても実態は労働ではないか」という指摘…無理な解釈に立脚する形で制度運営してきた理由は、出入国管理法という実定法上において、研修を留学、就学と並ぶ非就労活動と位置づけてしまったことにあるように思われます。

h18.12.25 規制改革・民間開放推進会議第3次答申:制度見直し…遅くとも平成21年通常国会までに関係法案提出

提案(厚生労働省:h19.5.11、経済産業省:h19.5.14、法務大臣の私案:h19.5.15)


厚生労働省だけでなく、上記3省の連携が必要なようですね。
(2006年3月から、各省副大臣によるプロジェクトチーム)

ここ1、2年で法案提出の見込みとのことですので、ひきつづき動きを追っていきたいと思います。


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2008年03月24日

ミクシィ、内定者に採用理由を文書説明

ミクシィ、内定者に採用理由を文書説明・内々定辞退を防止:2008.3.24 nikkei bizplus

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手のミクシィは、2009年入社予定の内々定者に、採用を決めた理由を文書で説明する取り組みを始めた。面接試験の受け答えのどこを評価し入社後に何を期待するかを文書にまとめて手渡す。売り手市場を背景に複数社の内々定を得る学生が増えると予測し、納得感を高めて辞退を防ぐ狙いがある。

 手渡す文書は「フィードバックシート」と名付けたA4判1枚の紙。内容は人物評価と入社後の期待、最終面接者である笠原健治社長による評価の3項目を書き込む。1人ひとりの内々定者に対して「大学時代のサークル活動から、企画の素養があるイメージを持った」といった面接官による評価を人事担当者が集約する。


労働契約法第4条2項(労働契約の内容について、できる限り書面により確認) に つながるかどうか。
権利内容ではありませんが、「契約の目的」を明らかにするという目的はあります。

すくなくとも、大きな目的の上で、共通するものがありそうな気がします。

非常にうがった見方をすれば、たとえば解雇事由として「能力についての期待を満たさなかった」という理由付けの傍証に使われることもないとはいえませんが…(あくまで論理的可能性として)
それよりも、労働契約の実質がはっきりする+コミュニケーションギャップをなくす という意味で、歓迎するべきこと、と思います。


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2008年03月23日

テレワーク普及へ?−統合コミュニケーション市場、急拡大の予測

米IBM、「統合コミュニケーションソフト」に10億ドル:2008.3.23 nikkei net
パソコン、携帯電話、テレビ会議など、ビジネスマンが別々に使っているコミュニケーション手段を融合する新しいソフトサービス市場が急拡大している。パソコンから相手の携帯電話に電話をかけたり、テレビ会議でパソコンのデータをやり取りするなど、ビジネスマンの働き方を大きく変える可能性を秘めている。米IBMは同分野を中心に企業向けソフトの開発に今後3年で計10億ドル(約1000億円)を投じる。米マイクロソフトも参入し、日本のシステム各社も開発を急いでいる。

 IBMが開発を強化するのは「統合コミュニケーション」と呼ばれ、電子メールや電話、テレビ会議など、現在は個別に使われている情報伝達手段を取りまとめるソフト。

紙面(日経 2008.3.23)では
・どこでもTV会議・データ交換:統合ソフト 10億ドル投資−米IBM「働き方」に変化も
・日本も本腰、OKIやNEC事業買収など


■テレワークは、ワークライフバランス実現のひとつの有力な手段とされます。
ex.労働力不足時代・生き残りのカギはテレワークにあり:2008.2.18 田澤 由利 NBONLINE

「ワークライフバランス憲章」と同時に制定された「仕事と生活の調和推進のための行動指針」でも言及されています。(「3(1)企業、働く者の取組」より「多様な働き方の選択」)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/w-l-b/k_2/pdf/s1.pdf


■テレワークでは、次の3要件を満たせば、事業場外のみなし労働制が適用されます。
→情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン h16.3.5(詳細はこちら

1)当該業務が,起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
2)当該情報通信機器が,使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。 
3)当該業務が,随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

上記ガイドラインによるその他の留意事項:

・労働安全衛生法 …健康診断・安全衛生教育・「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日基発第0405001号)等に留意
・労働者災害補償保険法 …業務が原因→業務上の災害 私的行為→対象外

・その他…労使双方の共通の認識が必要・業務の円滑な遂行の担保(業務内容や業務遂行方法等を文書にして交付など)・業績評価等の取扱い・通信費及び情報通信機器等の費用負担の取扱い・社内教育等・労働者の自律



昨年の経済諮問会議において、上記3要件の見直し+在宅勤務中の自発的労働の解釈基準の明確化 および 労働法制上の工夫 が提案されています。
→経済諮問会議 労働市場改革専門委員会(h19.9.21:第13回)


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2008年03月22日

育児休業制度・家庭での役割分担と出生−21世紀成年者縦断調査

育児休業制度、第2子以降出産に重要・厚労省調査:2008.3.21 nikkei net
 妻が育児休業制度を利用可能かどうかは第1子の出産では大きな影響は出ないが、第2子以降の出産では影響が強まることが21日までに、厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」で分かった。夫が家事・育児に協力的なほど、第2子以降を出産した夫婦の割合が増えることも判明。同省社会統計課は「少子化対策には職場の育児休業制度の充実などが重要」としている。

 調査は2002年10月末時点で20―34歳の男女を無作為抽出し、同じ回答者を毎年追跡。少子化対策に役立てるため、結婚や出産、就業状態の変化を探った。5回目の調査となる今回は約2万人に調査票を送り、06年11月1日現在の状況を調べた。

「第1子の出産では大きな影響は出ないが、第2子以降の出産では影響が強まる」なのかな?

■第4回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen07/index.html

調査の概要
結果の概要
I 結婚の状況
 1 独身者の結婚の状況
 2 結婚した女性の就業継続の有無
II 出生の状況
 1 夫婦の子どもの出生の状況
 2 出産した妻の就業継続の有無
III 就業の状況
 1 仕事なしの有配偶女性の就業の状況
 2 女性の退職理由

II 夫婦における子どもの出生の状況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/judan/seinen07/kekka2-1.html

・子どものいなかった夫婦では、妻の職場に育児休業制度があり、利用しやすい雰囲気がある場合34.1%、制度がない場合21.6%に第1子が生まれている。
[第2子(第1子がいる夫婦を分母):35.1%,33.3%,21.1%  …「制度ありvsなし」という差が顕著なのかな?]

・子どもがいる夫婦は、夫の休日の家事・育児時間が長い方が第2子以降が生まれる割合が高くなる傾向がある。


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2008年03月21日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険(3)−労働契約の内容の変更

「合意」シリーズは、この回で一段落し、次から第2の宿題=「定義の違い」に移る予定です。(ここまで一気にきたので、たぶんインターバルをはさむでしょう)


■8条−「できる」の読み方

6条 労働契約は、合意により成立する。
8条 合意により、労働契約の内容である労働条件を変更できる。

…Q:「する」と「できる」の違いは?(2008.2.18エントリ



通達(H20.1.23基発0123004)による答えは、こうです。

第3 労働契約の成立及び変更(法第2章関係)
3 労働契約の内容の変更(法第8条関係)

(1)趣旨=「合意の原則」の確認
(2)内容
ア 法第8条は、「労働者及び使用者」が「合意」するという要件を満たした場合に、「労働契約の内容である労働条件」が「変更」されるという法的効果が生じることを規定したものであること。

これだと、「する」と「できる」の違いは、はっきりわかりません。

が、下記と同様に考えるとすれば、「合意しなかった場合の取扱いは、規定からは明らかでない(=グレーゾーン)」ことになります。

第5 期間の定めのある労働契約(法第4章関係)
2 契約期間中の解雇(法第17条第1項関係)
(1)趣旨
有期契約労働者の実態をみると、契約期間中の雇用保障を期待している者が多くみられるところである。この契約期間中の雇用保障に関しては、民法第628条において、「当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない理由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」ことが規定されているが、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合の取扱いについては、同条の規定からは明らかでない。
このため、法第17条第1項において、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合は解雇することができないことを明らかにしたものであること。

とすると、文理解釈上「『できる』という表現によって、裏命題である9条に例外を入れる余地ができた」ということが可能ですね。

できれば、あいまいさの少ない書き方をしてほしいが…
問題があるのでしょうか(たとえば国会・審議会等での合意が得にくいとか)

あるいは、最初から「9条・10条とあわせて読む」ことを前提に、こういう書き方になったのかな?


■「9条(原則+例外の存在)−10条」という構成(=就業規則による変更が例外であることの明記)

h18.12.27 労働政策審議会答申 にはなく、h19.1.25 労働契約法案要綱 に初めて出てきたようです。

審議が進むにつれ、より慎重な書き方になったということですね。


■10条 −今回ちょっと「要注意」と思ったのが、第3-4(3)ケ です。
「就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分」について、就業規則による変更が可能な場合と不可能な場合があるということですね。


第3−4 就業規則の変更による労働契約の内容の変更(法第9条・第10条関係)

(1)趣旨
ア …この労働契約の内容である労働条件の変更については、法第8条の「合意の原則」によることが契約の一般原則であるが、我が国においては、就業規則によって労働条件を統一的に設定し、労働条件の変更も就業規則の変更によることが広く行われており、その際、就業規則の変更により自由に労働条件を変更することができるとの使用者の誤解や、就業規則の変更による労働条件の変更に関する個別労働関係紛争もみられるところである。
このため、

法第9条において、
 法第8条の「合意の原則」を就業規則の変更による労働条件の変更の場面に当てはめ、使用者は就業規則の変更によって一方的に労働契約の内容である労働条件を労働者の不利益に変更することはできないことを確認的に規定した上で、
[法第9条ただし書は、法第10条の場合は、法第9条本文に規定する原則の例外であることを規定 :第3-4(2)ア]

法第10条において、
就業規則の変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとされる場合[=周知+合理性:第3-4(3)ア]
を明らかにしたものであること。


第3-4(3)法第10条の内容

ア 法第10条は、「就業規則の変更」という方法によって「労働条件を変更する場合」において、使用者が「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと及び「就業規則の変更」が「合理的なものである」という要件を満たした場合に、労働契約の変更についての「合意の原則」の例外として、「労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによる」という法的効果が生じることを規定したものであること。

ク 法10条ただし書の「就業規則の変更によっては変更されない労働条件」として合意していた部分については、同条ただし書により、法第12条に該当する場合(合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合)を除き、その合意が優先するものであること。

ケ なお、法第7条ただし書の「就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分」については、

将来的な労働条件について 
(1)就業規則の変更により変更することを許容するもの 
(2)就業規則の変更ではなく個別の合意により変更することとするもの 

のいずれもがあり得るものであり、

(1)の場合には法第10条本文が適用され、[=就業規則で上書き]
(2)の場合には同条ただし書が適用される[=個別合意が優先]

ものであること。



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2008年03月20日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険(2)−労働契約の成立(就業規則と労働契約の内容)

前回までを総論(全般的な考え方)として、各論に移ります。

■労働契約の内容−法第7条

ちょっとびっくりしたのですが、

通達によれば、「6条 vs 7条」は、「原則 vs 例外」ではないそうです。


第3-2(2) 労働契約の成立(法第6条・第7条関係)−法第7条

イ(ア)…これは、労働契約の成立についての合意はあるものの、労働条件は詳細に定めていない場合であっても、就業規則で定める労働条件によって労働契約の内容を補充することにより、労働契約の内容を確定するものであること。

 (キ)法第7条は、就業規則により労働契約の内容を補充することを規定したものであることから、同条本文の規定による法的効果が生じるのは、労働契約において詳細に定められていない部分についてであり、「就業規則の内容と異なる労働条件」を合意していた部分については、同条ただし書により、法第12条に該当する場合(合意の内容が就業規則で定める基準に達しない場合)を除き、その合意が優先するものであること。


(ポカーン…)

7条は、6条の空白を埋めているだけだと。

8条vs(9条vs10条) のように、先行する条文を否定するわけではないと。

だから、9条のように「例外」があることを明示していないということでしょうか。


大山鳴動してネズミ一匹というか、狐につままれた感じですが…

あと、「就業規則(=一方的に決めたもの)が、なぜ契約になるか」については、9条・10条と同様、諸説あるわけですが…(要件となる「合理性」は、「成立」と「変更」で必ずしも同じではないらしい →余裕あれば取り上げられるか?)

2008.2.16エントリで"to be continued"としたところの答えは、公式にはこのようなものとなります。


労働契約の「成立」と「内容確定」を切り離している点については、
2008.3.18エントリ
「成立要件としての合意」vs「解釈対象としての合意」として説明したとおりですね。
(→野田進「労働契約における『合意』」p19-20(『講座21世紀における労働法』2000) より)


p.s じゃあ労働契約・就業規則のどちらもないエリアはどうなるんだと。その問題が(立法上の)宿題かな(一部は法・労働協約で上書きされるとして)


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2008年03月19日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険−横ずれ断層 1-5

■法6条の背景(と私が思ったもの)…その2

野田論文の隣に、次の記述を発見しました(「犬も歩けば」的な …拾いもの でしょうか) 

水町勇一郎「労働契約の成立過程と法」『講座21世紀における労働法』2000 より
(p51)

労働契約の成立過程をめぐる法的問題:
 |
 +1.契約の性質決定 …当事者意思の確定
 |
 +2.具体的問題の解決 …規範的解決の要素を含んだ問題


1.でのポイント:

(1)労働契約等は諾成契約=意思表示の合致で成立

 →当事者意思の確定(=a,bの探求) が最も重要
   a.両当事者の真の意思
   b.どの時点で 意思表示の合致=合意 が成立したのか

(2) (1)当事者意思の確定の探求 は、表面的な意思(契約書の文言等)に依拠するのではなく、
客観的な状況を踏まえることが重要。

契約の性質決定を当事者に委ねてしまうと、当事者が簡単に強行法規を潜脱できる(例えば労働者保護法規の適用を免れるため当事者が労働契約ではないと言い張ることができる)ようになるため、契約の性質決定は第三者(最終的には裁判所)によって客観的事情を踏まえつつ行われなければならない。


「当事者意思の確定 は、表面(契約書の文言等)のみに依拠しないこと」は、野川 忍『わかりやすい労働契約法』 でも言及していましたね。
 →2008.02.10エントリ


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2008年03月18日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険−横ずれ断層 1-4

野田論文については、断片的に引用する前に、
全体を要約すべきかな、という気がしてきました。

宿題が …一問去ってまた一問(いや、去ってないか(^^;

そうした中で、あえて、法6条の背景であろう!と私が考えた箇所を2つあげておきます。

2008.2.28エントリの疑問U-1 

Q:「労働しますよ」「賃金払いますよ」さえ合意すれば、労働条件の詳細について合意しなくても、労働契約は成立するの?
A: Yes!(H20.1.23基発0123004 第3-2(1)イ(オ))
Q2:なんて大雑把な… そんなんで問題ないの?!

については、ここで一定の答えが得られたようです。

「成立要件としての合意」が法6条、「解釈対象としての合意」が法7条に対応しそうですね。

野田進「労働契約における『合意』」p19-20(『講座21世紀における労働法』2000) より

(p25-26)

労働契約における合意は、新しい雇用動向や労基法改正の動きのもとで、それ自体が自己完結的に規範的な意味を持つよう再構成することが要請される。そのためには、いかなる分析視角のもとにどのような理論形成をなすべきか。

1.合意の2つの機能

…第1に、労働契約が成立するためには、一定の事項について労働者と使用者の意思が合致していなければならず、その意味での合意は労働契約の成立要件として位置づけられる。

第2に、労働契約の締結の際には、労務を提供するためにさしあたり必要な事項、すなわち雇用の基本条件、種々の労働条件、労務の遂行の仕方、企業や仕事の特性に応じた留意事項なども決めている。これらの合意はすべて明示されているわけではなく、黙示または包括的な合意であることもあるから、その内容は解釈を通じて明らかにされることになる。

こうして、第1の合意を「成立要件としての合意」、第2の合意を「解釈対象としての合意」と呼ぶことができよう。

前者は、労働契約の成立において必要な合意であるから、その段階での意思の合致があれば足りる。これにたいして、後者は、契約締結時には一部のみ成立し契約の長期的な継続の中で少しずつ完成されれば足り、また少なからず変更が予定されているものである。


2.合意の複合的構造 →図2-1

…「成立要件としての合意」は基本事項についての合意で足りるが、「解釈対象としての合意」の構造は当事者を拘束する権利義務を決定する合意であり、その内容は複合的である。
労働契約の締結の際には、労働条件等について基本的または概括的な合意しかなさないで、より具体的な事項は、その後の契約履行の過程における契約の展開の中で、新たに付け加えられ詳細化されるのが一般である。…したがって、労働契約の締結時に概括的な合意がなされたからといって、労働者はその事項のすべてに同意したと解することはできない。また、労働契約の締結時に明確な合意がないときにも、その後の一定の事実の累積により合意が形成されることもありうる。

 要するに、労働契約における解釈対象としての合意は、主として契約締結時になされる基本的・概括的な部分(基本的合意)と、その後の展開でアポステリオリ[事後的]に追加される具体的にして詳細な部分(追加的合意)から構成される重層的な構造をもつ。…解釈対象としての合意はかかる複合的構造として理解することが重要なのである。


(p36-37)
[3 労働契約の解釈と合意]

[合意はいつ成立したのか? という意思解釈の基準においても]重視すべきなのは、合意の複合的構造である。…労働契約における合意の多くは、労働契約締結時の基本的合意だけでは完結しておらず、その後に追加される細目についての合意の累積により完成される。したがって、わが国の労働契約の解釈においては契約締結時における当事者双方の意思が重視されるとともに、それに加えて、契約締結時に各事項についてなされた、一方当事者の申込みと他方の明示または黙示の承諾により追加された合意の状況が、十分に評価され斟酌される必要がある。



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2008年03月17日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険−横ずれ断層 1-3

前回の連載?中には、気づいていなかったことがあります。

社労士試験で

法令>労働協約>就業規則>労働契約

という優先順位を学ぶように、

労働法において、労働契約=個別合意の順位は最下位(「埋め草」的な位置づけ)となっていました。


ひらたくいえば

労働者は絵を描くのが下手である

なにはともあれ、まずキャンバスを成立させる。
そこに保護者が強行的・直律的効力で、ちゃんとした絵をデフォルトで描いてあげよう!

というのが、労働法の発想といえそうです。

このへんに対応した(と思える)記述があるので、拾ってみましょう。

野田進「労働契約における『合意』」p19-20(『講座21世紀における労働法』2000) より

20世紀における労働法の発展は、労働契約における個別合意の支配を制限・排除することに特徴づけられる。労働法は、労働者の利益擁護の役割をになうがゆえに、個別合意を疑うことから出発した。その結果、労働契約は契約外の種々の諸制度、すなわち強行法としての労働法規、労働協約、就業規則などの制度の支配下におかれる。労働契約の内容を決定するのはこれらの制度の作り出す身分(statut)であり、当事者の合意によることは例外的となる。…労働契約は「衰退」し、「契約から身分へ」の動きが要請されたのである。 …b

しかし、世紀の終盤に至り、発達したテクノロジーのもとで「個別債権化」する雇用と、「自立した」労働者像を前提に労働契約を考えるとき、…そうした規制を受け入れ、了解して労働契約を締結したのもまた、当事者の合意にほかならない。その意味では、労働契約とは、法律や労働協約に対して階層的に従属しているのではなく、…個別合意の主体的優位を語ることが、かえって個別合意と集団的諸制度の連携を可能にし、「意思または合意という人間の自由にもとづく価値」を最大限に可能にするのである。労働契約は復権し、再び「身分から契約へ」の動きが語られることになる。 …a


■いままで、労働契約法について
・原則:合意
・例外:就業規則は合意なしで契約になる場合がある
と把握し、この「例外」があるところが議論の焦点であると考えてきました。

ところが問題は、さらに複雑なようです。

「合意が原則です」の 合意 って何?

を、まだ把握していないことに気づきました。


合意 をクローズアップすることが、労働者の不利になる場合があるらしい。

過去には、労働契約(=個別合意)を就業規則より優先し、就業規則の基準を引き下げる労働契約が黙示に成立していた、とする裁判例があり、
就業規則の労働契約に対する強行的直律的効力(労基法93条[今回移りましたね])を看過した誤ったものとしかいいようがない」と菅野先生が怒っておられます(菅野『労働法』第7版補正2版 p101)。

労働契約法で、12条・13条によって優先順位が定められているのは、こうした裁判例に対応するためかな(今までは漠然と「あ、ひっこしてる」と考えていたのですが)。

「労働契約をなるべくさっさと成立させたい」は、直律的効力による上書を前提とした、労働者保護の装置ではないか、とここで思いました。


■保護と合意の重視を両方ともあわせもつところに、労働契約法の特徴があるのかもしれません。

とすると、「合意」について、根本的に知る必要がありますね。

すなわち、民法を知ることが必要なようです。


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2008年03月16日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険−横ずれ断層 1-2

積極的用法と消極的用法の両方を含むのが、6条です。
細かく分析してみましょう。


(労働契約の成立)第六条

a.労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

b.労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。


光の当て方によって、見え方が違ってきますね。

a.労働契約は、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

b.労働契約は「使用されて労働+賃金支払」によって成立する。

(記号は、前回の「積極/消極」に対応)


通達は、次のように言及しています。

第3-2(1)

ア 趣旨
当事者の合意により契約が成立することは、契約の一般原則である労働契約についても当てはまるものであって、法第6条は、この労働契約の成立についての基本原則である「合意の原則」を確認したものであること。 …a

イ 内容
(ア)
法第6条は、
労働契約の成立は労働者及び使用者の合意によることを規定する …a
とともに、
「労働者が使用者に使用されて労働」すること及び「使用者がこれに対して賃金を支払う」ことが合意の要素であることを規定したもの …b
であること。

「趣旨」(≒総論)にはa.のみかかれていますが、「内容」(≒各論)によると a.とb. の両方が存在する …と、この通達は考えているようです。

つまり、通達はこの6条を
・合意原則の確認規定
のみならず、
・「労働契約の定義[=成立要件]規定」
ともみなしていると考えられます。

「合意原則の確認規定」のほうは、「合意がなければ成立しない」と範囲を限定する性質のものでしょう。

では、「労働契約の成立要件規定」 はどうでしょうか。

第3-2(1)イ 内容
(オ)法第6条の労働契約の成立の要件としては、労働条件を詳細に定めていなかった場合であっても、労働契約そのものは成立し得るものであること。

2008.2.28エントリのU-1で言及したところです。
「労働契約の成立する場合」を、なるべく広くとらえようとする傾向がうかがえます。

つまり、

合意原則の確認規定 と 労働契約の成立要件規定

は、真逆のベクトルをもつように思われます。

合意原則の確認規定 は、総則部分の繰り返し(=民法由来)ですが、
労働契約の成立要件規定 は、ここで初めて登場=労働法固有の発想 のように見えます。

とすると

民法と労働法という正反対のベクトルが、「合意」という言葉を共有することによって、ひとつの文に重層的に存在している(=横ずれ断層の路頭)のが、法6条

といえないでしょうか。


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2008年03月15日

労働契約法:「合意」をめぐる冒険−横ずれ断層 1-1

前回の連載(?)で疑問として残ったのは「労働契約の成立・変更における原則と例外」=合意原則とその例外 でした。
そこで、「合意」をキーワードとして、通達(H20.1.23基発0123004)を分析してみようと思います。

エントリ1回分に相当する内容を、3回にわけて掲載する予定です。

今回の目的は、法そのものへの直接の意見は暫くおき、通達に寄り添って
「上記通達が、労働契約法をどのように解釈しているか? その背景は?」をさぐる(その出発点となる)ことです。
力不足かつ自己流と思いますので、率直なご指摘をお待ちします。


■まず、「合意」をキーワード考え、通達内の用例を検索してみました。

(元来が単なる印象である/多義的or判断不可のパターンもある/軸がまだ暫定的 …といった限界はご了承ください。)

↓結果

(1)第1 法制定の趣旨等/第2 総則(法第1章関係)
(2)第3 労働契約の成立及び変更(法第2章関係)−総論・労働契約の成立(法第6条・第7条)
(3)第3 労働契約の成立及び変更(法第2章関係)−労働契約の内容の変更(法第8条・第9条・第10条)
(4)第3 労働契約の成立及び変更(法第2章関係)−就業規則違反時(法第12条)・法・労働協約と就業規則の関係(法第13条)
  第5 期間の定めのある労働契約(法第17条関係)


※ 「第4 労働契約の継続及び終了(法第3章関係)」には用例なし

ちなみに、使用頻度は
「合意」:47箇所
「原則」:42箇所
「合意の原則」:12箇所
「合意のみで成立[変更]」:3箇所


表の段階で、すでに自己流の分類をかけておりますが…
とりあえず、まずご一読ください。


私なりには、

a 合意しなければ〜できない・合意によって〜する
b 合意[さえ]すれば〜できる・合意しているので〜できる 等

この2パターンに分かれるのでは?

という印象を持ちました。


あえていえば、 a…「印籠・積極活用系」・b…「脱力系」 でしょうか。
(カスタマイズ志向(とことんすりあわせる) vs デフォルト値志向(埋め草的) といえるかも。)

本エントリでは、以後、便宜上、
a 積極的用法
b 消極的用法
とよぶことにします。


「合意」の用法に2パターンがある…として:
この第一印象は、何を意味するのか。 →次回へ!


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2008年03月14日

年金「名寄せ」4割は特定困難

「ねんきん特別便」が送られている人は、「解決の予想」がたっているという点で、まだラッキーということですね。


年金「名寄せ」月内完了、4割は持ち主特定が困難:2008.3.7 読売

年金記録「名寄せ」、2025万件が特定困難:2008.3.14 読売
…持ち主が特定可能な記録は全体の2割の1172万件にとどまる一方、4割にあたる2025万件が特定困難な記録として残った。社保庁は今後、コンピューター上の記録の原簿である紙台帳との照合作業などを続けるが、それでも特定できない記録が残ることは確実と見て、インターネットなどで情報を公開し、名乗り出てもらうことも検討している。

 5000万件の内訳は

−−−

〈1〉持ち主と結びつく可能性がある1172万件

〈2〉持ち主が既に死亡しているなど一定の解明が済んだ1898万件

産経 2008.3.14 より:
死亡者や脱退手当金の受給者などに加え、基礎年金番号に統合できた84万件を含めると、持ち主の特定につながる記録は1898万件で、昨年12月の推計1550万件より348万増えた。

産経 2008.3.14 より:
照合作業で記録統合の可能性が高く「ねんきん特別便」を送ることになった1172万件+1898万件=3070万件の「名寄せ」を終えた形だ。


−−

〈3〉社保庁による氏名の転記ミスや結婚による姓変更などで持ち主の特定が困難な2025万件。

昨年12月の発表では、特定困難な記録は1975万件だったが、その後の作業で約50万件増えた。

−−

社保庁は特定困難な記録も、今後、住民基本台帳ネットワークシステムとの突き合わせで300〜400万件程度が解明されると期待している。特定可能な1172万件については、持ち主の可能性が高い約1030万人に「ねんきん特別便」を送り、確認を呼びかけたが、14日時点で確認済みは約35万人にとどまった。


■→年金記録に対する信頼の回復と新たな年金記録管理体制の確立について(進捗状況):2008.3.12 社会保険庁
http://www.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/070831shintyoku.htm


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