2008年08月22日

「前期高齢者納付金」で健保組合解散

前期高齢者納付金も含めた運営費用をまかなうには、政管健保より高い保険料率を設定する必要があり、「それなら継続の意味がない」として解散を決めたそうです。

3月には解散を決定していたとのこと…制度開始に伴って想定された現象といえそうですね。

このような例が続くと、政管健保の加入者が増えることになります。
高齢者医療改革が、公費負担を却って増額させる可能性も出てきました。(政管健保で支えられるのであれば、それはそれで一つの解決ですが)


前期高齢者納付金自体の趣旨には、反対ではありません。

前期高齢者の財政調整の全体イメージ →p17(p27)
・前期高齢者医療制度の仕組み →p3
http://www.kenpo.gr.jp/itoki/topics/0707/kourei.pdf

が、現状では
・負担を減らしたい健保組合
・公費負担を減少させたい国
から、逆方向の見直し要請が出るかも。(見直す場合、後期高齢者のように切り離す方向には反対です)


健康保険組合ごとの体力差(年齢構成・組合員数など)もあるようです。→2008.8.22 中部新聞
解説記事を見て気がついたのですが、中部地方の運輸会社ですね。
(全国的には相対的に景気がよいはず…景気減速時の落差が大きかったのでしょうか。あるいは、客観的な経営状況の反映というより、合理的に早めに割りきって決断をしたか) 


●高齢者支出増で健保組合解散:2008.8.21 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/t10013621971000.html#
…解散したのは、岐阜県大垣市に本社があるセイノーホールディングスのグループ企業31社の従業員や扶養家族が加入する「西濃運輸健康保険組合」で、およそ5万7000人の加入者がいました。[グループ全体では58社とのこと:2008.2.21 nikkei net]

この健保組合では、高齢者に関連する対象の支出は、昨年度は35億円でしたが、今年度は4月に高齢者医療制度が変更されたことなどで60%余り増え、58億円となる見込みとなりました。このため、健保組合の事業を継続することが難しくなり、今月1日に解散したということです。

西濃運輸健保組合の加入者は、ほぼ全員が国が運営費用を補助する政府管掌健康保険に加入し直したということです。西濃運輸の担当者は「健保組合を存続させるには、従業員にさらなる保険料負担を求めることになってしまう。従業員のためには、保険料が安い国の健康保険に移ったほうがよいと判断した」と話しています。…


●2008.8.21 読売 より
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080821-OYT8T00539.htm
…支出は総額で約58億円に上る見通しとなった。このため、保険料率を月収の8・1%から10%以上に引き上げることが必要となった。政府管掌健保の保険料率(8・2%)を上回ることから、今年3月に解散を決定。厚生労働相に解散認可を求め、7月末に許可[←ここにつっこまないように]が下りた。同社総務部は「健保の仕組みを維持する意義が見いだせなくなった」としている。


●健保組合、中部でも厳しい台所 国の負担肩代わりで圧迫:2008.8.22 中部新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/economics/news/CK2008082202000052.html

◆解散続けば国庫負担増

 「西濃運輸健康保険組合」の解散に伴って加入者は国が運営する政府管掌健康保険(政管健保)に移ったが、その政管健保も2007年度決算は5年ぶりの赤字に転落した。今後も健保組合の解散が続いた場合、政管健保への移行者がさらに増えるとみられ、高齢者医療制度改革で国がうたった「公費軽減」とは逆に、多額の国庫負担が生じる事態にもなりかねない。
 一方、政管健保の加入者は06年度からの1年間で約36万人増え、家族を除いた被保険者数(医療分)は約2000万人に達した。社会保険庁は「解散による移行は毎年ある。急激な負担増は当面ない」とみているが、赤字決算が事業運営安定資金残高を減少させるなど、運営の厳しさは確実に増している。(青柳知敏)

◆高齢者納付金が重荷

 企業の健康保険組合の負担が増えた最大の要因は、今年4月の健康保険法の改正に伴って、65−74歳の高齢者の医療費負担を国民健康保険へ拠出する「前期高齢者納付金」の制度ができたためだ。

 健保組合はこれまで組合に一定期間以上在籍し、退職後に国保加入者となったこの世代のOBの医療給付費を「退職者医療制度」に基づいて国保に拠出。負担の一部を肩代わりしてきた。

 しかし高齢化の進展で国保の財政はいっそう悪化。このため国は負担を公平にするとして、65−74歳の加入者が少ない健保組合に、新たに前期高齢者納付金を課すことにした。自営業者ら国民健康保険の加入者の医療費も支えなければならなくなったわけだ。

[→これに伴い08年度は全国に1500ある健保組合の9割近くが赤字になる見通しで、健康保険組合連合会(東京)は「これ以上の負担は健保組合制度の崩壊につながる」と切実。7月30日に出した「09年度政府予算編成に関する見解」で、前期高齢者医療制度への公費投入を「不可欠」と訴えた。]


■「前期高齢者納付金」、本試験でもろに出ているかも?

cf.2007.4.4 第2章 保険者(2)【健康保険組合】健保法8条〜30条
http://trying.seesaa.net/article/37705315.html

◇健康保険組合が解散→権利義務は政府が承継(法26条4項)(H07-08A,類似H08-10E、H10-04E改) ←「他の健保組合」ではない!

◇健保組合解散:議員定数3/4以上の議決+大臣認可 要(法26条1項1号・2項)(H13-03C、選H14-06(合併も3/4:H17-01B))
 他、事業の継続の不能+大臣認可/大臣の解散命令

 ↑今回は、議決vs不能 どちらによって解散したのでしょうか?


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posted by 若葉 at 10:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 法改正・動向 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
またブロポチ参上です。
うちの顧問先は100%、政管健保です。
ちなみに厚年基金があるのは1社のみ。
自分の会社員時代は組合で基金ありで、ほとんどの被保険者がそうだと思い込んでました。人間、どうしても自分を基準に考えがちですね。
さて今日は申請・計画書を持って助成金のすりあわせに行ってきます。楽しみ、そしてちょい緊張^^
Posted by DJヒロ at 2008年08月22日 13:30
首尾はいかがでしたか。

近場で9月上旬に説明会を見つけたので、いってみることにします。

>自分を基準に考えがち
ありますね。(そういう意味では経験をつむことが大事ですね)

Posted by 若葉 at 2008年08月23日 09:54
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